====以下「天地明察」第五版P34L1〜L13引用
「まあ、仕方ない」====以上引用
自分に言い聞かせながら、あらかじめ用意していた銭を、駕籠舁きに渡した。
銭通しの紐に通したまんまの束を二つ。ひと束、九十六文だが、紐を通すと百文として扱われる。束が二つで二百文。しかし現実は、百と九十二文である。
ぴかぴかの、手垢もついていない寛永通宝だった。最近ではほとんどその純国産の貨幣が、国外からの輸入貨幣に取って代わっている。だが銭はぴかぴかでも、けちも良いところである。日本橋から新たにできた新吉原までの駕籠代だって二百文はする。それをあんな宮益の急な坂を行ったり来たりさせて、これっぽっちはないだろうと、駕籠舁きたちが不平を口にする前に、「上り坂は一割増し、くだり坂は一割二分増し。遠回りした分と急がせた分は一割五分増し。銀一匁と五分で、ちょうど百文。銀三分で二十文」
ひょいひょいと、駕籠舁き二人に、今度は銀で払った。あっという間に支払い額が倍以上になる。しかも銀は、いまだに額面より重さで銭と両替することが多い。春海が支払った銀は見たところきわめて良質で、けっこうな両替額になりそうだった。
さて、問題です。晴海は駕籠舁きにいくら払ったのでしょうか?
1.基本料金の二百文は一束九十六文の引っ掛けがあるが、二百文。
2.上り坂は一割増し
3.くだり坂は一割二分増し
4.遠回りした分と急がせた分は一割五分増し
遠回りした分と急がせた分は(それぞれ)一割五分増しともとれる。
5.銀一匁と五分で、ちょうど百文
6.銀三分で二十文
7.5.6.は、支払った金額ともとれるし、このあとに出てくる「銀六十匁が銭四千文」を言い換えた、単なるレート確認の台詞ともとれる。
8.銀で払った。・・・三分銀では割り増しの端数が出るはずなので、寛永通宝(一文銭)も必要なはずだが・・・。銀を千切るという江戸初期の荒業もありか?(私も飲み代の端数500円を、千円札を千切って渡すこともあるし。翌日素面になって回収、修復するけどね。紙幣は貨幣損傷等取締法には問われないんだなこれが。でも止めといたほうがいいよ。硬貨はアウトだぞ。)
9.支払い額が倍以上になる?
なんじゃこりゃ。はっきり言って、私には判りません。
まっ、支払額が判らなくても、ストーリーには全く影響しないからいいんだけどね。
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