Title 藝州嚴島圖會  Book 藝州嚴島圖會卷之一  Subtitle 本社 安藝國第一宮嚴島大明神  Description 【前略】 ○西行撰集抄曰あきのくにいつくしまの社はうしろは山深くしげり まへは海左は野右は松原なり東の野に清きながれありこれを御手洗 といふ御社三所おはしますまたすこし前の方に引退て南北へ三十三 間東西は二十五間の廻廊侍る潮の滿つときは廻廊の板敷の下まで海 になる汐のひく時は白沙五十町ばかりなり然はあれども汐のさした る時まゐればふねにて廻廊の中までまゐるなり氣高くいみじき事た とへもなく侍る但いかなる御事やらん御簾のうへには御正體の鏡を かけまゐらせで御簾の下にかけまゐらするなりかの御神は女體の神 にておはしますなればかくはならはせるやらんおほかたは御社は山 上にあがり廻廊は平地にあり東西南の三方晴わたりことに心もすみ 侍るところに鹿を狩ざれば御山には小鹿なき草に露おち虫のこゑさ かりに侍りしなに心なき人もこの御社にては心のすむなるとこそ申 傳へて侍る 按ふに撰集抄にいふところよくこの地の景勝にかなへり但し其頃は 本社の左右に松林原野ありしとみゆ今は市街つらなり多く堂社を置 けりいま御靈川の裔にながき松原あるは後に築るものなり御靈山は 抄に東の野に清き流ありといへるこれなるべし  Figure 0082  Description 西行法師は名地旧蹤を歴遊して 此島へも來りつきをみて詠歌の感 慨ありしこと山家集に見えたり 歌は本文にのす  Description 「山家集」  安藝のくにの一宮へまゐりけるにたかとみの浦といふ處にて  風にふきとめられて程へければ苫ふきたるいほりより月のも  りけるを見て                西行 浪の音を心にかけてあかす哉苫もる月のかげを友とて  まうでつきて月いとあかくてあはれにおぼえければ                同 もろともに旅なる空に月も出てすめばやかげのあはれなるらん  Book 藝州嚴島圖會卷之二  Subtitle 西行返  Description 仁王門より長濱へかよふ路角佛のあたり池の浦の山路をいふむかし 西行法師此處にて嫗に逢ひ山路を尋ねしにいらへもさざりしかば うつせみのもぬけのからにことゝへば山路をさへもをしへざりけり これを聞て嫗うちゑみてもぬけのからかとこそよむべけれ既にもぬ けのからなればなにかはをしへまゐらすべきといへり西行答ふるに 言葉なくしてかへりぬよりて此處をかくなづけしとぞ ○按に香川氏の秋長夜話に云此事西行撰集抄にもみえず本朝語園に よるに西行奧州松島に趣き七日あまりに名所二百ばかりもめぐり興 つきてこれよりほかにしかりぬべき名所いかほどあるとぞ里人に問 ふいま十日ばかりにして見盡さるべしといふ西行退屈して是よりか へれり其處を西行戻といふといへり此事を附會せるにやといへれど 今いふところ久しく島につたはりたればかくしるしつ  Book 藝州嚴島圖會卷之三 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之四 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之五 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之六 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之七 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之八 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之九 【無し】  Book 藝州嚴島圖會卷之十 【無し】  End  底本の親本::   書名:  藝州嚴島圖會   發行:  天保十三年   著者:  岡田清   畫 :  山野峻峯  底本::   書名:  日本圖會全集二期第五〜六卷        藝州嚴島圖會        嚴島寶物圖會   發行日: 昭和四年三〜四月二十五日   發行所: 日本隨筆大成刊行會  入力::   入力者: 新渡戸 廣明(nitobe@saigyo.net)   入力機: SHARP Zaurus MI-E21   編集機: IBM ThinkPad X31 2672-CBJ   入力日: 2006年06月06日 $Id: zue_itsu.txt,v 1.6 2019/07/09 02:30:53 saigyo Exp $