Title  緑の札(グリーン・カード)豫告  Note  昭和五年七月十六日  大阪朝日新聞 夕刊  懸賞當選映畫小説  近く夕刊紙上に  『緑の札(グリーン・カード)』      ----五十年後の社會----  Author  不明:大坂朝日新聞記者  石原榮三郎 原作  小島善太郎 插畫  Description 犬飼健氏の「走馬燈」は好評裡に近 日完結を告げます。引きつゞいて 夕刊紙上を飾る讀みものとして、 さきに當選を發表した長編映畫小 説「緑の札」を連載することにな りました。 「緑の札」は本紙創刊五十年記念 に際し、一萬圓の賞を懸け募集し たうちの當選作で、題材が 「五十年後の社會」であり、 形式が映畫小説であること によって、普通の小説以上 に作者の苦心を費したこと は、審査員の齊しく感じた ところでありましたが、こ の難條件の下において、最 傑作として當選したといふ だけで、十分價値づけられ るものであることを信じ ます。  Indent 近代生活の二要素である 科學と映畫とを相交錯し て綴つたこの小説が、果 してどんな五十年後の社 會を讀者の前に描き出す か、新人石原榮三郎氏の 新しい感覺に生かされた ペンの跡は、必ずや讀者 の眼をひきつけずには置 かないでせう、殊に物語 は五十年後の世界ではあ るが、夢幻物語ではなく 篇中に躍動する人々や、 その舞台となる社會は、 現代の最尖端に躍る諸現 象よりすべて推理的に考 察され、モダーン・ライ フに包藏された吾々がそ の未來を原作者と共に想 像することの興味は、更 にこの小説の魅力を一層 強調するでせう  Description 插繪は一九三〇年協會の俊 才小島善太郎氏が執筆を快 諾され、この豫言的な世界 を描き出すために異常な苦 心と研究を遂げ、その結晶 は連日紙上をかざると同時 に、斯界の批判を呼び起す ことゝ思ひます。切に御愛 讀を祈ります。  End  Data  トツプ見出し:  廣告:  底本::   紙名:  大阪朝日新聞 夕刊   発行:  昭和五年七月十六日 第三版  入力::   入力者: 新渡戸 広明(info@saigyo.net)   入力機: Sharp Zaurus igeti MI-P1-A   編集機: IBM ThikPad s30 2639-42J   入力日: 2003年7月15日  校正::   校正者: 大黒谷 千弥   校正日: 2003年7月26日     0001: 22/13 円→圓  $Id: yokoku.txt,v 1.5 2005/09/16 02:35:24 nitobe Exp $