Title  壹萬圓懸賞文藝募集  Date  昭和四年一月三十一日(木曜日)  Description 本紙創刊五十周年を記念する計畫の一として計金一萬圓を投じ左の六種の映畫ストーリー及び短篇小説を募集することは先きに發表したが、これが詳細の規定を左のごとく定める  Subtitle  長篇映畫小説  題『五十年後の社會』   賞 一篇五千圓  Description 五十周年記念といふ意味からこの長篇映畫小説に限り特に「五十年後の社會」と課題が附されてゐる、だから今から五十年後に社會の状態はどう變つてゐるか交通機關はどうか、人情世態はどうか、科學の進歩はどんな新しい發明をわれらに提供してゐるか、すべてそれらのことを考慮におき、大きい背景とした映畫小説であらねばならぬ。愛慾を扱つてもいゝ、人生觀上の苦惱や宗教的悦樂を土台としてもいゝ、探偵的興味をあほつてもいゝ、テーマは應募者の自由である、たゞこの課題は單なる科學小説を募集するといふ意味でないことを、特にお斷りしておく、又たとひトリツクを用ひるにしても必ず實際に映畫化でき得るものに限ることもいふを竢たない。  十五字詰、一回百二十行くらゐ、百回以下(映畫化して八卷を標凖とする)  締切 九月三十日限  Subtitle  短篇映畫二種   賞 一篇各壹千圓  Description 前の八卷ものに比して短篇の映畫小説でこれを次の二種とする  --------  三卷映畫  --------  長篇映畫には課題が附されているが、この方には制限がない。氣の利いた喜劇風のもの、毒氣邪氣のない諷刺劇、何でも結構である、たゞ映畫そのものゝ特性として清新なものでなくてはならぬ。  ----------  こども映畫  ----------  少年少女に見せる無邪氣な映畫である、必ず教訓となるものとは限定はしないが、兒童の性能や徳操に惡影響を及ぼすものはもちろん採用されない。  右の二種はいづれも十五字詰、一回約百行、三十回程度。(映畫化して三卷を標準とする)  締切 四月三十日限  Subtitle  短篇小説三種   賞 一篇各壹千圓  Description  1現代物 2時代物 3探偵小説  右三種いづれも十五字詰、一回百行、三十回程度。  締切 四月三十日限  Subtitle  應募規定  Description 以上長篇、短篇合して六種、當選は各一篇に限る▲審査は本社編輯局に審査委員を設けてこれに當る▲當選の作品はその版權、上演權、上映權等一切の權利を本社所有とする▲原稿は必ず十五字詰に明瞭にみとめること▲審査の公正を期するため應募作品は必ず匿名とし、別に作者の住所本名を密封して作品に添へること▲作品は必ず新作に限る、飜譯飜案は一切採らない▲郵送は必ず書留郵便とすること▲審査後原稿の返却を望まるゝ方は原稿に返送料を添へ置くこと▲長篇映畫小説に限り作品の他にその梗概を書いて添付すること▲宛名は大阪朝日新聞社編輯局、表に懸賞文藝募集係と朱書すること▲規定の質問には應ぜず  End  底本::   紙名:  大阪朝日新聞 夕刊   発行:  昭和四年一月三十一日(木曜日)  入力::   入力者: 新渡戸 広明(info@saigyo.net)   入力機: Sharp Zaurus igeti MI-P1-A   編集機: IBM ThikPad s30 2639-42J   入力日: 2003年7月30日  校正::   校正者: 大黒谷 千弥   校正日: 2003年08月21日  $Id: bosyu.txt,v 1.7 2005/09/16 02:35:24 nitobe Exp $