(映画)天地明察 関の設問 算哲の解答


(映画)天地明察 関の設問Link のコメント
たっちゃん — 2012/10/15@13:02:38Link
たっちゃん — 2012/10/15@13:49:02Link
「たっちゃん」さんが、有力な情報をくださった。感謝感謝。
映画の問題の答は、(パソコンで予告編を見ると、)「答日十一寸一分九敢?厘有奇」です。
おっと!トレーラー位しか真面目に見てなかったからなぁ。TVスポット「明察編」とは予想外。それも最初のワンカット一瞬だ。保全しました。
seki



早速、翻刻してみよう。
【問題文略】
答曰十一寸一分九有奇
      安井算哲
      関孝和
」は、「厘」の旧字「釐」の異字体である。正字体の異字体という表現が正しいのかな?並みの漢和辞典には出ていない。
kuzusi_1113_5674


えっ?「りん」って読みはないのかしらん。
くずし字用例辞典 普及版 新装13版
ISBN:4-490-10333-6
編者:児玉幸多 発行:株式会社東京堂出版

「釐」は Unicode / jis x 0213 第二水準 で出てくるが、「」は「今昔文字鏡Link 」じゃないとね。


ん?なんか変だぞ。

厘 : Unicode U+5398 JIS X 0213 第一水準 1-46-50 部首厂部 画数9画
釐の簡体字。

釐 : Unicode U+91D0 JIS X 0213 第二水準 1-78-58 部首里部 画数18画
厘は略字・俗字。簡体字も厘。

𨤲 : Unicode U+28932                部首里部 画数17画
𨤲は、〔爾雅〕に俗字とある字。

Unicode に存在するじゃないか。JISに存在しないだけだ。Windows7/IE9 で表示されるぞ!

みんな、見えてる?𨤲 32pt で出してみたよ。

Unicodeをまっとうに実装していない処理系は「□」とか「?」とか表示される。はずです。最悪の場合フリーズするかも。昔の unix 上の netscape は、JIS第三・第四水準でフリーズしていた。10/23 現在 Nexus7 / Android4.1(Jelly Bean) / Crome では出てこない。

これ、問題だなぁ。
岩波 新漢語辞典 第二版
2000年1月25日 第二版 第一刷発行
編者 山口明穂・竹田晃
発行所 株式会社岩波書店
ISBN4-00-080098-1
里部
11【×釐】(18)7858 6E5A リ 呉 漢
意味①おさめる。あらためただす。「釐改・釐正」
②数の名。千分の一。きわめてわずか。「毫釐」
▼「厘」に通ずる。
「割」に続く場合のみトータルで千分の一【一割(十分の一)の百分の一=千分の一】。野球の勝率や打率でおなじみ。「割」が無い普通の場合は百分の一。たのむよ岩波書店。

「割」は十分率で、「分厘毛・・・」は小数部位取り。らしい。ややこしや~~ぁややこしや。百分率で例えると33.333[%]の漢字表現は、三十三[%]三[分]三[厘]三[毛](%は漢字じゃないけどね)。十分率の場合、3.333[割]の漢字表現は、三[割]三[分]三[厘]三[毛]となるわけだ。
最悪なことに、「割」十分率、「分」百分率、「厘」千分率・・・と説明しているサイトもある。指摘してあげようかと思ったけど抛っておくことにした。この論法なら、江戸和算の表記は全て誤りということになってしまう。おそろしや~~ぁおそろしや。通貨表現になると更に手に負えなくなるんだが・・・。

閑話休題。
facebook「映画『天地明察』ページLink 」10月5日「<映画『天地明察』の世界>関孝和の設問に挑戦する算哲。」の写真には、算盤の赤い算木で「11.1983(4?)」が置かれている。手前の計算用紙は弧の8分割を計算しているもののようだ。桁数が少なくて他人事ながら心配なのだが・・・。この算木を転記して「11.19有奇」という答えになったのだろう。

1.「11.19なにがし」を得るには8分割では無理。もう2ステップ、32分割「11.19541・・・」まで計算を進めなければならない。
2.関孝和の加速計算式を、8分割の時点で適用すると、「11.19827・・・」が得られる。

1.2.どちらでもいいんだが、正しい答は「11.197695・・・」だからどちらも小数点3桁目以降は使えない。この程度で「明察」にしちゃうんだ、関孝和。「誤謬」ではないが、しょぼい

それにしても算木の「11.198・・・」加速計算式を使わないと出てこない値なんだよなぁ。地道に計算するだけだと「11.197695・・・」を超えることはないんだけどなぁ。四捨五入の誤差で真値越えちゃいました。ちゃんちゃん。ってオチかな?

それはさておき、
私(江戸時代の大工の源さんでも誰でもいいんだ)が、この絵馬に、算哲より先にヤマ勘で「十一寸有奇(あまりわずか)」と書いたとしよう。小数以下を「有奇」とする算額も現存する。関孝和は、「明察」と書かざるを得ない。何故かって・・・「誤謬」ではないからだ。解答精度の指定がない。「術」は書く必要はない。「無術」って書いても根拠を示す必要もない。解答は先着一名様という暗黙の了解らしい。真っ当な解答が得られる確率は限りなく低い。というより、無い

算額と絵馬の混同は、単行本の誤謬指摘の頃にも問題視する方がいらっしゃった。佐藤賢一先生のブログのコメント欄でも見かけたことがある。

重ねて言いましょう。斯様なちんけな絵馬一枚で算術の出題/解答を行う・・・こんな馬鹿げたシステムがあったはずがない。「(映画)天地明察」は日本の恥部だから海外出品はやめてもらいたい。恥部を晒すのも一興か?そりゃぁ変態だ。

10/18 追記:
突っ込まれる前に断わっておく。大型の算額や出版物での遺題継承を否定しているわけではない。からんころん鳴っちゃう現代風何ちゃって絵馬一枚でのやり取りを否定しているので誤解しないように。

 


— posted by nitobe at 09:50 pm   commentComment [2] 

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