(文庫)天地明察訂正箇所確認#9 「にやり」


====以下単行本第12版P459L4より引用
泰福がおろおろと訊いた。春海は、にやりと笑い、
「必至」
事も無げにそう口にした。

====以下文庫本(下)初版P268L15より引用
泰福がおろおろと訊いた。春海は、にこりと笑い、
「必至」
事も無げにそう口にした。

タヌキ親父は「にやり」の方がお似合いなのだが・・・。この策士がぁぁ。(‾ー‾)

— posted by nitobe at 09:59 pm   commentComment [0] 

 

(文庫)天地明察訂正箇所確認#8 「年齢」


天地明察 雲外の峰(たくせんさん) 2010年06月19日Link 指摘済

====以下単行本第12版P5L9より引用
気づけば四十五歳
====以下文庫本(上)初版P5L9より引用
気づけば四十六歳

【中略】

====以下単行本第12版P469L8より引用
七十七歳の春海は、・・・
====以下文庫本(下)初版P276L5より引用
七十七歳の春海は、・・・

どこまでかは未だ定かではないのだが、前半、地味にインクリメントしている。この検証は厄介だぞ。だれかやっちくり。というわけで、【中略】。
さては、数え歳と満年齢をごっちゃにしたか?「ゴッチャ」のまゆおねいさんは3月いっぱいでとっくに引退しているぞ!

これはたぶん、たくせんさんの
P437 酒井は逝去した。享年五十七歳であった。
 何度か「享年◯◯歳」という言葉がある。気になってここだけはインターネットで調べてみた。酒井忠清の生まれは寛永元年10月19日(1624年11月29日)。死去は天和元年5月19日(1681年7月4日)。これが正しければ、享年は五十八。
 ここはもし「享年五十七であった」とあれば気にならなかったところ。

P457 そっと積み重なった己の歳を数えてみた。四十五歳二ヶ月。
 当時の人がこのような歳の数え方はしない。数え歳のはず。
が発端になって、大々的に修正を余儀なくされたと推察される。

 

— posted by nitobe at 06:49 pm   commentComment [0] 

 

(文庫)天地明察訂正箇所確認#7 「必至」


天地明察 雲外の峰(たくせんさん) 2010年06月19日Link 指摘済

====以下単行本第12版P294L12より引用
「必至」
 叫ぶように応えた。反射的に口から出たそれが、の語彙でもあると遅れて気づいた。
====以下文庫本(下)初版P68L1より引用
「必至」
 叫ぶように応えた。反射的に口から出たそれが、勝負の語彙でもあると遅れて気づ
いた。

「勝負の語彙」?なんじゃらほい。「将棋の語彙」と素直に書けばいいのに。このしと意外と素直じゃないことが発覚。

 

— posted by nitobe at 06:42 pm   commentComment [0] 

(文庫)天地明察訂正箇所確認#6 「日本天文学史」


天地明察 日本天文学史 2010/4/27Link

====以下単行本第12版P123L9より引用
                           ・・・中国(清国)でも地動説に
疑問の余地はなく、当然、日本でも天文観測に特に長けた一部の者たちにとっては常識だった。
この地球が宇宙に浮かぶ一個の球体であり、それより遥かに巨大な太陽の周囲を、他の惑星と
ともに公転運動している。同じように、月などの衛星も地球の周囲を公転しており、様々な天
文現象をもたらす。
====以下文庫本(上)初版P144L7より引用
  ・・・中国(清国)でも日本でも天文観測に特に長けた一部の者たちには地球が
一個の球体であることが認知されつつあった。それより遥かに巨大な太陽や月なども
規則正しく動く球体であり、互いの動きが天文現象をもたらすという認識が生まれよ
うとしていたのである。

おっ、地動説、引っ込めたね。

====以下単行本第12版P442L1より引用
 一つは、大地だった。授時暦が作られた中国の緯度と、日本の緯度、その差が、術理の根本
的な誤差をもたらしていたことを実証したのである。北極星による緯度の算出、その”里差”
の検証、さらには漢訳洋書という新たな視点によって、その誤謬が確実なものとなった。

====以下文庫本(下)初版P242L12より引用
 一つは、大地だった。授時暦が作られた中国の経度と、日本の経度、その差が、術
理の根本的な誤差をもたらしていたことを実証したのである。北極星による経度の算
出、その”里差”の検証、さらには漢訳洋書という新たな視点によって、その誤謬が
確実なものとなった。

あぁ。やっちまったなぁ。泥沼ですね。北極星で経度が分かるんだ。ふーん。

====以下単行本第12版P442L11より引用
 膨大な数の天測の数値を手に入れ、何百年という期間にわたる暦註を検証した結果、太陽と
月の動きから、この春海がいる地球そのものの動きが判明したのである。
 地球は、太陽の周囲を公転し続けている。そのこと自体は天文家にとって自明の理である。
 だがその動き方が、実は一定ではないということを、春海は、おびただしい天測結果から導
き出したのだった。
 近日点通過のとき、地球は最も速く動く。逆に遠日点通過のときには、最も遅く動いている
のである。これは、たとえば秋分から春分までがおよそ百七十九日弱なのに対し、春分から秋
分までは、およそ百八十六日余であることから、実は既に明らかになっていることでもあった。
 後世、“ケプラーの法則”と呼ばれるもので、この近日点通過と、遠日点通過の地点もまた、
徐々に移動していく。となると、地球の軌道はどんな形になるか。太陽を巡る楕円である。
 「……そんなばかな」 

====以下文庫本(下)初版P243L12より引用
 膨大な数の天測の数値を手に入れ、何百年という期間にわたる暦註を検証した結果、
太陽と月の動きが判明したのである。
 太陽と惑星は互いに規則的に動き続けている。そのこと自体は天文家にとって自明
の理である。
 だがその動き方が、実は一定ではないということを、春海は、おびただしい天測結
果から導き出したのだった。
 太陽は、地球に最も近づくとき、最も速く動く。逆に最も遠ざかるときには、最も
遅く動いているのである。これは、厳密に秋分から春分までを数えるとおよそ百七十
九日弱なのに対し、春分から秋分までは、およそ百八十六日余であることから、明ら
かになっていた。
 後世、”ケプラーの法則”と呼ばれるものに近い認識である。このいわば近地点通
過と、遠地点通過の地点もまた、徐々に移動していく。となると、その運行はどんな
形になるか。
 楕円である。
 「……そんなばかな」

”ケプラーの法則”も「近い認識」とトーンダウン。

 

— posted by nitobe at 10:26 pm   commentComment [0] 

(文庫)天地明察訂正箇所確認#5 「招差術」


天地明察        2010/4/13Link
天地明察 招差術問題  2010/4/22Link
天地明察 招差術問題#2 2010/4/24Link

====以下単行本初版P236L3より引用
『今有如図大小星円十五宿。只云角亢二星周寸相併壱十寸。又云心尾星周寸相併廿七寸五分
重云虚危室壁五星周相併四十寸。問角星周寸』
====以下文庫本(上)初版P275L1より引用
『今有如図大小星円十四宿。 只云角亢二星周寸相併寸。 又云心尾星周寸相併壱拾
寸。 重云虚危室壁五星周相併四十五寸。 問角星周寸』

おみごと。ひょっとして、講談社のコミック担当編集に手伝ってもらった?
「重云女虚危室壁五星周相併四十五寸」単行本初版からだけど、文庫になっても「」抜けてるし。

====以下単行本初版P241L13より引用
 七分の三十寸。
 すなわち四寸二分八厘五毛七糸一忽四微……と続き、よって”有奇”と記して割り切れぬこ
とを示さざるを得ない数値。それを、しっかりと割り切れるように工夫した答え。
『四寸五分 関』

====以下文庫本(上)初版P281L4より引用
『答 七分ノ三十寸 関』

へえぇ。今度は工夫しないんだ。工夫すると、角=亢=四寸五分になっちゃうもんね。そりゃぁ困った。七分の三十寸、すなわち四寸二分八厘五毛七糸一忽四微有奇でもいいんだよね。金王八幡宮のオリジナル問題はこの形式だしね。

金王八幡宮 2010/4/24Link

book2
クリックすると拡大するよ

この修正問題は、ただの等差数列に成り下がっている。ああ、情けない。散々いじくりまわしてこの為体だ。招差術なんていうのも烏滸がましいことこのうえない。等差数列だから条件も過剰。『今有如図大小星円十四宿。只云角亢二星周寸相併九寸。又云房心尾星周寸相併壱拾八寸。問角星周寸』で充分。このexcel sheet は逆行列で解いたけど、そんなことする必要もなし。暗算(私は筆算)でOK。中学一年の練習問題にはかろうじて使えるレベルだ。

解いてみよう。
an = pn + q を想定する。

a1 = p + q
a2 = 2p + q
a3 = 3p + q
a4 = 4p + q
a5 = 5p + q
a6 = 6p + q <--- 十四宿なんて不要。ここまでで充分。
:
a14 = 14p + q

題意より
a1 + a2    ~~~  3p + 2q = 9 ……(1)
a4 + a5 + a6  ~~~  15p + 3q = 18 ……(2)

(1)、(2)より
p = 3/7 , q = 27/7

故に
a1 = 30/7

更に言わせてもらえば、
『今有如図大小星円十四宿。只云心星周寸六寸。又云危星周寸九寸。問角星周寸』で充分。ああ、しょぼい。
an = pn + q を想定する。

a1 = p + q
a2 = 2p + q
a3 = 3p + q
:
:
a5 = 5p + q
:
a12 = 12p + q  <--- 十四宿なんて不要。ここまでで充分。
:
a14 = 14p + q

題意より
a5  ~~~  5p + q = 6 ……(1)
a12  ~~~  12p + q = 9 ……(2)

(1)、(2)より
p = 3/7 , q = 27/7

故に
a1 = 30/7

関係者、誰も気づいてない? 読者をバカにしている? 海老澤總右衛門正泰氏の算額をどこまで貶める? やっぱり、著者、担当、編集、校正、和算監修、揃って切腹もんである。介錯は角川の社長にお願いいたします。
おう、忘れてた。巻末解説の大御所もだ。

たぶん、コミックも映画も同様の修正問題であろう。おおいに笑わせていただこう。祝・雁首仲間入り。

 


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