Title 江戸名所圖會  Book 江戸名所圖會卷之一 天樞之部 【無し】  Book 江戸名所圖會卷之二 天璇之部 【無し】  Book 江戸名所圖會卷之三 天璣之部  Subtitle 武藏野   Description 南は多磨川北は荒川東は隅田川西は大獄秩父根を限りとして多磨橘 樹都筑荏原豐島足立新座高麗比企入間等すべて十郡に跨る 【中略】 西行物語 さしていつくを心さすともなければ月のひかりにさそはれてはる%\ とむさし野にわけ入ほどにをばなが露にやどる月末こす風に玉ちり て小萩がもとのむしのねいと心ぼそくむさし野の草のゆかりを尋け んもなつかしくやどをば月にわすれてあすの道行なんと口すさびて 行程に道より五六町ばかりさし入て經をどくじゆするこゑしければ 人里に此末に遙にへだゝりたるとこそ聞しにあやしと思ひて聲につ きて尋ね入てみればわづかなる庵のうへをばうすかる萱にてふき萩 女郎花いろ/\の秋の草にてめぐりをかこひ夜ふす所とおぼえて東 によりてわらびのほとろを折しき西のかべに畫ざうの普賢をかけ奉 り御まへには法華八軸を置れたり庭には千草の花露にかたぶき虫の こゑ%\所がらにあはれにいづくぞと問ふ人もあらじとおもへばか よひぢもたえにけり庵の内を見いたればかうべには雪ふりまゆには 霜をたれたる老僧九十有餘とおぼえたるが在於閑處修攝其心とよみ たてまつる若仙人などにてもやとあやしく思ひて八月十五夜名にた がはぬ月のかげなればいづくのかくれ家までもまがふべきかたもな しあゆみよりまへに侍りけれどもたがひにあきれたるさまにて物も のたまはずやゝ久しくありて西行いかなる人のかくてはおはするや らんと問けれどもこたふる事なしかさねて我は都のほとりのものな りあづまのかたゆかしくて下りはべりしがむさし野のけしきふるさ とにて聞しよりもあはれに覺えてわけ入程になんこれより人往方も はるかなりときくなにを御たよりの御すま居にかいにしへの御事も ゆかしくなんといへば老僧郁芳門院の侍の一臈にてはべりしが女院 かくれさせたまひてのち出家して國々修行せしが此野へ佛道修行の かくれ家にたよりありとおもひて廿九の年よりすでに六十餘年此所 にとゞまれりされば讀誦の數七万餘部なりとかたる西行も郁芳門院 の御事もよそならぬ御事なればたがひにかたりこけのたもとをしぼ り名殘をしくおぼえけれどもあかつきまた立わかるゝとて いかで我きよくくもらぬ身となりて心の月のかげをみがゝん いかゞすべき世にあらばやは世をも捨てあなうの世やとさらに思はん 秋はたゞこよひばかりの名なりけり同じ雲井に月はすめども  Subtitle 紫草 武藏野の景物とす  Description 和名類聚抄無良散岐と訓ず紫は最上の色にして古歌にも免の色又位 の色抔詠あはせたり根を碎て染る故に紫の根染の根摺ともいへり女 に比しては縁の色抔もいへり江戸の紫染は最絶妙にして他邦に比類 なし故に江戸むらさきの稱あり 【以下略】  Book 江戸名所圖會卷之四 天權之部  Subtitle 堀兼井  Description 河越の南二里餘りを隔てゝ堀兼村にあり淺間の宮の傍にある故に淺 間堀兼と號せり 【中略】 「家集」                西行 くみてしる人もありけんおのづから掘兼の井のそこの心を  Book 江戸名所圖會卷之五 玉衡之部 【無し】  Book 江戸名所圖會卷之六 開陽之部 【無し】  Book 江戸名所圖會卷之七 搖光之部 【無し】  End  底本の親本::   書名:  江戸名所圖會   發行:  天保七年   著者:  齋藤長秋   畫 :  長谷川雪旦  底本::   書名:  日本圖會全集第一〜四回        江戸名所圖會   發行日: 昭和三年三〜六月二十五日   發行所: 日本隨筆大成刊行會  入力::   入力者: 新渡戸 廣明(nitobe@saigyo.net)   入力機: SHARP Zaurus MI-E21   編集機: IBM ThinkPad X31 2672-CBJ   入力日: 2006年06月10日 $Id: zue_edo.txt,v 1.5 2020/01/06 03:45:05 saigyo Exp $