Title 御裳濯川歌合・宮河歌合  Note  親本::  国立公文書館蔵浅草文庫本「御裳濯川歌合・宮河歌合」 〔 〕:親本註釈 ( ):編者註釈 【 】:入力者(新渡戸)註釈 【〇〇一右】  Section  御裳濯川歌合 西行     判者俊成卿  Subtitle  一番  0001:  左                山家客人 岩戸明しあまつみことのそのかみに 桜をたれかうへはしめけん  0002:  右                野径亭主 神路山月さやかなるちかひありて 天の下をはてらすなりけり  Description 豊あし原の国のならひとて、難波津の歌は人の心をやるなかたちと成 にけれは、是をよまさる人はなかるへし、しかあれと、よしとはいか なるをいひ、あしとはいつれを定むへしとは、我も人もしる所にあら さる物なり、その故は、あをによしならの都の時えらひをかれたる万 葉集は、世もあかり人の心をよひかたけれは、暫をく、それ 【〇〇一左】 よりこのかた紀貫之、凡河内躬恒等かえらへる所の古今集こそは、歌 のもとゝは仰へきことなるを、同集の内の歌をも、或はゑにかける女 にたとへ、しほめる花の匂ひのこるによそへ、或は商人のよききぬを きたるといひ、田夫の花の陰にやすめるかことしといへり、これらの 心を思ふに、撰集はさま/\の歌の姿をはわかす、其すちにとりて、 よろしきをはとりえらへるなるへし、彼時より後、四条大納言公任卿 さま/\の歌の道をみかきて、あるはとをあまりいつつかひの歌を合、 あるは三十あまり六つかひの歌をたゝかはしめ、九しなの歌をさため たり、これすなはちおほくは古今集上のうちの歌を、あるをは上の上 品にあけ、あるをは下か下品にをけり、此等のたくひは疑心のむすほ ゝれぬへけれと、 【〇〇二右】 先達の事は及ふ所にあらす、今の世の人は、歌のよしあしをいはんに つけて、さかひに入さる程にしらさるもの也、抑歌合といふ物は、上 古には有けんをしるしつたへさりけるにや、亨子のみかとの御時より そ、しるしをかれたれと、或時は勝まけをつけられす、あるおりは勝 劣をはつけなから、判の詞はしるされす、村上の御時天徳の歌合より そ、判の詞はかきしるされて後、永承ゝ暦の歌合ならひに私の家に至 るまて、勝劣をつけしるすことになりにたる、あるは仏事によせて結 縁を講し、或は霊社によせて神感をかけてつかひをむすひ、判をうけ しむる間、かつは今の愚老にいたるまて、かたの如くふるき跡をまな ひつゝ、をよはぬ心にまかせてかちまけをさたむる事、すてに数なく 【〇〇二左】 成にけん、つら/\此事をおもふに、かつは此道の先賢のなきかけに             〔り〕 もみおもはれん事、その恥限るなし、いかにいはんや住吉明神より始             〔〃〕 奉りて、照しみそなはすらんこと、恐いくはくそや、然るのみにあら す、齢かたふき老にのそみて後は、朝にみる事夕に忘れ、夜半の莚に 思ふ事暁の枕にはとまる事なけれは、ふるき証歌今の世の作法、みる こと聞事ひとつも心に残る事なし、よりてちかき年よりこのかた、な かく此事をたちをはりにたれと、上人円位、壮年の昔より互にをのれ をしれるによりて、二世の契をむすひをはりにき、各老にのそみて後、 離居は山河を隔るといへとも、昔の芳契は旦暮に忘るゝ事なし、其う         〔儀〕 へに是はよの歌合の使         〔〃〕 【〇〇三右】 にはあらさる由、しゐてしめさるゝ趣をつたへ承るによりて、例の物 覚えぬひかこと共を注し申へき也、さ思ふやうの事のつゐてには、哀 に思ひつゝけられ侍る事をもとめかたくてなん、昔人承長承の比をひ より、かたのことく此道にたつさひて、或時ははこやの山の花の本に つらなり、ある時は雲井の月のまへに見なれし輩、今は昔の夢にのみ 成ぬる世に、人の数にもあらす、桑の門のすて人と成なから、今まて 世になからへて、かやうのすゝろ事をかき付侍るにつけても、竹の窓 に露しけく、苔の袂しほりあへかたく侍るを、かゝるもくつのみたれ ことの葉なから、かけまくもかしこき神風のつてに、みもすそ川のみ きは玉くしのかけにもちり侍らは、おほうち人の中にもをのつから 【〇〇三左】 露の哀はかけられ侍らんや、一番のつかひ左の歌は、春の桜を思ふあ まり神代の事まてたとり、右歌は天の下をてらす月をみて、神路山の ちかひをしれるは、ともにふかくきこゆ、持とすへし、  Subtitle  二番  0003:  左 神かせに心やすくそまかせつる さくらの宮の花のさかりを  0004:  右 さやかなる鷲のたかねの雲井より 影やはらくる月よみの森  Description 左の桜の宮、右の月よみの杜、又勝劣なし、猶為持  Subtitle  三番  0005:  左 【〇〇四右】 をしなへて花のさかりに成にけり 山のはことにかゝるしら雲  0006:  右 秋はたゝこよひ一夜の名なりけり おなし雲井の月はすむとも  Description                          (ママ) 左歌、うるはしく長高くみゆ、右歌、是も歌の姿いとをかしし、十五 夜の月をめつるあまりに、今夜一夜の名なりけりといへる、心ふかし       〔り〕 といへ共、猶残るの秋をすてん事、いかゝと聞ゆ、左こともなくうる       〔〃〕 はし、勝と申へからむ  Subtitle  四番  0007:  左 なへてならぬ四方の山への花はみな よし野よりこそ種はとりけめ  0008:  右 秋になれは雲井の月のさかゆるは 月の桂に枝やさすらん 【〇〇四左】  Description 左右ともに心有て聞ゆ、初の句、右の中五文字、殊に歎美のことはに あらすやあらん、持なるへし、  Subtitle  五番  0009:  左 思ひかへすさとりやけふはなからまし 花にそめをく色なかりせは  0010:  右 身にしみてあはれしらする風よりも 月にそ秋の色はありける  Description 左の、さとりやけふはなからましといひ、右の、月にそ秋といへる、 心姿ともに同し、又為持、  Subtitle  六番  0011:  左 春をへて花のさかりにあひきつゝ 思ひておほきわか身なりけり 【〇〇五右】  0012:  右 うき身こそいとひなからもあはれなれ 月をなかめて年をへにける  Description 左右歌、春花秋月はことなりといへ共、歌の心は同しすちなるを、思 ひ出おほきといへるより、月をなかめて年のへにけるといひすてたる ママ) と、すこしまさり侍らん  Subtitle  七番  0013:  左 ねかはくは花のもとにて春しなん そのきさらきのもち月の比  右  0014:         〔に歟〕 こん世には心のうちをあらはさん あかてやみぬる月のひかりを  Description 左の、花の本にといひ、右の、こん世にはといへる、ともに深にとり て、右はうちまかせて宜き歌の体也、左はねかは 【〇〇五左】 くはとをきて春しなんといへる、うるはしき姿にはあらす、此体に取 てかみしもあひ叶、いみしく聞ゆる座、さりとてふかき道にいらさら ん輩はかくよまんとせは、かなはさる事也、又これはいたれる時の事 也、姿は雖不相似なすらへて持とす、  Subtitle  八番  0015:  左 はなにそむこゝろのいかて残りけん すてはてゝきと思ふ我身を  0016:  右 ふけにけるわか世の影をおもふ間に はるかに月のかたふきにける  Description 右歌いとおかし、但左歌こともなくよろし、勝とや申へき、  Subtitle  九番 【〇〇六右】  0017:  左 よし野山去年のしほりの道かへて またみぬかたの花をたつねん  0018:  右 月をまつたかねの雲ははれにけり こゝろあるへき初時雨かな  Description 去年のしほりのといひ、たかねの雲といへる、姿心ともにおかし、持 とす  Subtitle  十番  0019:  左 よし野山やかて出しと思ふ身を 花ちりなはと人やまつらん  0020:  右 ふりさけし人のこゝろそしられける 今宵三笠の月をなかめて  Description 今宵三笠のとをける、詞はいと優に聞ゆ、ふりさけし 【〇〇六左】 といへる初の句や、いかにそ聞ゆらん、左歌、こともなく宜、勝と申 へからん  Subtitle  十一番  0021:  左 立かはる春をしれともみせかほに 年をへたつるかすみなりけり  0022:  右 岩まとちし氷もけさはうちとけて 苔のした水道もとむらん  Description 左歌、姿心相叶てみゆ、但みせかほにと云詞は、我も人もみなよむ事 也、さは有なから、猶歌合なとにはひかふへきにやあらん、かつは歌 のさまによるへし、右歌、心詞おかし、勝とや申へき  十二番 【〇〇七右】  0023:  左 色つゝむ野へのかすみの下もえて 心をそむるうくひすの声  0024:  右 とめこかし梅さかりなるわかやとを うときも人はおりにこそよれ  Description 左右春の歌、ともに艶なるによりて、右はいま少おかしきさまにみゆ るを、左歌、詞いひとめぬさまなから、心猶おかし、今少はまさると や申へからん  Subtitle  十三番  0025:  左 山かつのかたをかかけてしむるのゝ さかひにたてる玉のを柳  0026:  右 ふりつみしたかねのみ雪とけにけり 清たき河の水のしら浪 【〇〇七左】  Description 左歌、さる事有とみる心ちして珍しきさま也、末の句のをの字や、少 いかゝ、さもよみて持るかとよ、右歌、姿面白くみゆ、まさると申へ し  十四番  0027:  左 つく/\と物おもひをれはほとゝきす 心にあまるこゑきこゆなり  0028:  右 うき世おもふ我かはあやなほとゝきす あはれこもれる忍ひねの声  Description 両首、時鳥の声こもり、よき持也  Subtitle  十五番  0029:  左 うくひすのふるすよりたつ郭公 あゐよりもこき声の色かな 【〇〇八右】  0030:  右 きかすともこゝをせにせん時鳥 山田の原の杉のむらたち  Description ふるき歌合の例は、花を尋るにもみるをまさるとし、時鳥をまつにも きけるを勝とする事なれと、是はたゝ勝劣を申へきなり、あゐよりも こき、心おかしくきこえなから、又おり/\人よめるなるへし、山田 の原のといへる、姿凡俗及ひかたきに似たり、勝と申へし  Subtitle  十六番  0031:  左 郭公ふかきみねよりいてにけり 外山のすそに声の落くる  0032:  右 五月雨のはれまもみえぬ雲路より 山ほとゝきす鳴てすくなり 【〇〇八左】  Description 右歌難ともすへき所なく、高くきこゆ、左歌、時鳥深き嶺よりいてゝ、 外山のすそに声の落らん、今まさしく聞心ちしてめつらしくみゆ、左 まさると申侍らん  Subtitle  十七番  0033:  左 あはれいかに草葉の露のこほるらん 秋かせたちぬみやきのゝ原  0034:  右 七夕の今朝のわかれのなみたをは しほりやかぬるあまのはころも  Description 左右の初秋の歌、共に艶なるへし、但右はかやうの心聞なれたるへし、 ママ) 右、宮きのゝ原思ひやれる心、なをおかしく聞ゆ、まさるへくや  Subtitle  十八番 【〇〇九右】  0035:  左 大かたの露にはなにの成ならん たもとにをくは涙なりけり  0036:  右 心なき身にもあはれはしられけり しきたつ沢の秋の夕くれ  Description 鴫たつ沢のといへる、心幽玄にすかたをよひかたし、但左歌、露には 何のといへる、詞あさきに似て心殊ふかし、勝と申へし  Subtitle  十九番  0037:  左 あし引の山かけなれはとおもふまに 梢につくる日くらしのこゑ  0038:  右 山さとの月まつ秋のゆふくれは 門田の風の音のみそする 【〇〇九左】  Description 左歌、梢につくる心深く故有て聞ゆ、但此まにといへる詞そ、又人常 によむ事なれと、猶思ふへくやとおほえ侍る、かやうの事は人かへり てわらふへき事也、然共一身思ふ所をついてに申出る也、右歌は難と すへき所なくはみえなから、又よみつへきことにや、猶左の末の句心 まさると申へくや  Subtitle  二十番  0039:  左 長月の月の光のかけふせて すそのゝ原にをしかなく也  0040:  右 月みれはとちきりをきてし故郷の 人もやこよひ袖ぬらすらん  Description  〃 すそのゝ原といへる、心深く姿さひたり、但人もやこよ 【〇一〇右】 ひといへる、詞をかさらすといへ共、哀殊にふかし、右猶まさるへし  Subtitle  廿一番  0041:  左 きり/\すよさむに秋のなるまゝに よはるかこゑの遠さかり行  右  0042:    (ママ) 松にはふまさの葉かつらちりにけり とやまの秋は風すさふらん  Description 左右共に姿さひ詞おかしく聞え侍り、右のまさのはや、少いかにそ聞 ゆれと、外山の秋はなといへる、末の句優に侍れは、猶持と申へくや  Subtitle  廿二番  0043:  左 【〇一〇左】 霜さゆる庭の木の葉をふみ分て 月はみるやと問人もなし  0044:  右 山川にひとりはなれてすむ鴛の 心しらるゝ浪のうへかな  Description 右歌いみしく艶にはきこゆれと、左歌猶心姿詞宜、勝と申へし  Subtitle  廿三番  0045:  左 大原やひらのたかねのちかけれは 雪ふるさとをおもひこそやれ  0046:  右 枯野うつむ雪に心をしかすれは あたりの原にきゝすたつなり  Description 左歌はたゝ詞にして哀ふかし、右は心こもりて姿たけあり、なすらへ て為持 【〇一一右】  Subtitle  廿四番  0047:  左 数ならぬこゝろのとかになしはてゝ しらせてこそは身をもうらみめ  0048:  右 もらさてや心のそこをくまれまし 柚にせかるゝなみたなりせは  Description 両首の恋、ともに心ふかしといへ共、右猶よし有て聞ゆ、まさるへく や  Subtitle  廿五番  0049:  左 あやめつゝ人しるとてもいかゝせん 忍ひはつへきたもとならねは  0050:  右 たのめぬに君くやとまつ宵のまの ふけゆかてたゝあけなましかは 【〇一一左】  Description 左、忍ひはつへきなといへる末の句はいとおかし、初の五文字やいか にそ聞ゆらん、右歌心ふかくやあらん、右勝とすへし  Subtitle  廿六番  0051:  左 世をうしと思ひけるにそなりぬへき よしのゝおくへふかく入なは  0052:  右 かゝる身とおほしたてけんたらちねの おやさへつらき恋もする哉  Description 左の、吉野のおくへ入、右の、親さへつらき恋の心、共にふかくは聞 ゆ、大かたは此いつこへと云一字は、是又古も近くも人よむ事にはあ れと、こひねかふへきにはあらさるなり、是もおもふ所をつゐてに申 出る也、但歌のほと持とす  Subtitle  廿七番 【〇一二右】  0053:  左 人はこて風のけしきもふけぬるに あはれにかりのをとつれてゆく  右  0054:                   〔かり〕 物おもへとかゝらぬ人もある物を こやう・ける身の契りかな  Description 左も心ありおかしくは聞ゆ、右歌猶宜、まさると申へし  Subtitle  廿八番  0055:  左 なけゝとて月やは物をおもはする かこちかほなるわかなみたかな  0056:  右 しらさりき雲井のよそにみし月の 影をたもとにやとすへしとは  Description 左右両首共に心深く、姿優也、よき持とすへし  Subtitle  廿九番 【〇一二左】  0057:  左 かきくれし天の川原と聞からに むかしの浪の袖にかゝれる  0058:  右 津の国の難波の春は夢なれや 芦の枯葉に風わたるなり  Description 共に幽玄の体也、又為持  Subtitle  三十番  0059:  左 しけき野をいく一村に分なして さらにむかしを忍ひかへさん  0060:  右 枝折せて猶山ふかく分いらん うきこときかぬ所ありやと  Description 左心殊にふかし、右いとふ心又深し、猶可為持  三十一番 【〇一三右】  0061:  左 あかつきのあらしにたくふ鐘のをとを 心のそこにこたへてそきく  0062:  右 よもすから鳥のねおもふ袖のうへに 雪はつもらて雨しほれけり  Description 右歌、末句なとおかし、但左歌、殊甘心す、仍猶為持  Subtitle  三十二番  0063:  左 花さきし鶴の林のそのかみを よしのゝ山の雲にみるかな  0064:  右 風かほる花のはやしに春くれて つもるつとめや雪の山みち  Description 左、鶴林を吉野の奥に察し、右、春風の花落に雪山をおもへる、心姿 無勝劣、可為持 【〇一三左】  Subtitle  三十三番  0065:  左 わしの山おもひやるこそとをけれと こゝろにすむは有明の月  0066:  右 あらはさぬわか心をそうらむへき 月やはうときをはすての山  Description 二首尺教の心、左は霊鷲山を思ひ、右は姥捨山をひけり、天竺和国各               〔シナ〕 別、所詮は心月輪を観せり、歌の科も又同、仍猶為持  Subtitle  卅四番  0067:  左 若葉さす平野の松はさらに又 枝にや千世の数をそふらん  0068:  右 【〇一四右】 沢辺より巣立はしむる鶴の子は 松の枝にやうつりそむらん  Description 左歌は平野の松に若葉をさししめたり、定て其故有けんかし、右歌は たゝ沢辺の鶴の子の松にうつりそめたるは、祝の心左には及かたくや と覚え侍れと、歌の程は猶持なるへし  Subtitle  卅五番  0069:  左 くもりなき鏡のうへにゐるちりを めにたてゝみる世とおもはゝや  0070:  右 たのもしな君きみにます折にあひて 心の色を筆にそめつる  Description 左右共に由緒ありけんとはみえなから、左は訴訟の心あり、右霊朝に あへるに似たり、仍以右為勝 【〇一四左】  Subtitle  卅六番  0071:  左 深く人て神道の奥をたつぬれは 又うへもなきみねの松風  0072:  右 なかれたえぬ浪にや世をはおさむらん 神かせ涼しみもすそのきし  Description 左歌は、心詞ふかくして愚感難抑、右歌も神風久みもすその岸に涼し からん事、勝実の詞くわへかたし、仍持と申へし、誠にや、此歌はし めにもゝ枝の松にと持るは、愚和歌献にやとて、 藤浪もみもすそ川の末なれは しつえもかけよ松のもゝえに 契をきしちきりのうへにそへをかん 和歌の浦ちのあまのもしほ木 このみちのさとりかたきを思ふまに はちすひらけは又尋ねみよ 【〇一五右】 副送二首 和歌のうらに塩木かさなる契りをは かけるたくものあとにてそみる さとりえて心の花しひらけなは たつねぬさきに色そゝむへき  Description 本云 古今著聞集云 清書慈鎮和尚、西行老後付属于家隆卿、其後小宰相局相傅云ゝ 此歌合一覧次写之、不審数多可加校正而已、大正八年八月十六日片時馳筆云ゝ 【〇一五左】   (白紙半丁) 【〇一六右】  Section  続卅六番  宮河歌合   判者定家卿  于時        西行            侍従  Subtitle  一番  0073:  左                玉津嶋海人 よろつ代を山田の原のあや杉に 風しきたてゝ声よはふ也  0074:  右                三輪山老翁                         〔ひ〕 なかれ出て御跡たれますみつかきは 宮河よりやわたらゑのしめ                         〔〃〕  Description 左右歌、義隔凡俗、興入幽玄、杉上之風声摸柿本之露詞、見宮河之流 深蒼海之底、短慮易迷、浅才難及者歟、仍先為持  Subtitle  二番  0075:  左 くる春はみねにかすみをさきたてゝ 谷のかけひをつたふなりけり 【〇一六左】  0076:  右 分てけふあふさか山のかすめるは たちをくれたる春やこゆらむ  Description 左は、先たつ霞に谷の道の春をしり、右はをくれたる春を関山の霞に みる、詞はかはれるに似て心はすてに同けれは、嶺に霞をとをきて谷 のかけひをといへる、よき歌にもおほくよめる事には侍れと、此右の 歌は、今少とゝこほる所なくいひくたされ侍れは、まさるへくや  Subtitle  三番  左  0077:                       (ママ) わかなつむ野へのかすみそあはれなる むかしをとをへたつと思へは  0078:  右 若菜生る春の野守に我なりて うき世の人につみしらせはや 【〇一七右】  Description 右歌も詞たくみに心おかしくはみえ侍を、末の句やなへての歌には猶 いかにそ聞ゆらん、昔をへたつる野への霞は、あはれなるかたもたち まさり持らん  Subtitle  四番  0079:  左 ふるすうとく谷の鴬成はては われやかはりてなかんとすらん  0080:  右 色にしみ香もなつかしき梅かえに おりしもあれやうくひすの声  Description             (ママ) 右対紅梅之濃香、感黄鴬之妙典、左聞新語之好音、譜旧巣之閑居、景 気雖異、歌詞是均者歟  Subtitle  五番  0081:  左 【〇一七左】 雲にまかふ花のさかりをおもはせて かつ/\かすむみよしのゝやま  0082:  右 深くいると花のさきなん折こそあれ ともにたつねん山人もかな  Description 左歌、心詞誠におかしくも侍かな、花よりさきに花を思へる心も同し さまなるを、右の末の句は猶艶に聞え持れは、古野の山の春の気色も、 猶おとると申かたくや  Subtitle  六番  0083:続拾  左 年をへてまつもおしむも山さくら 花に心をつくすなりけり  0084:玉葉  右 花をまつ心こそ猶むかしなれ 春にはうとく成にし物を  Description 春にはうとくなといへる、哀には聞え侍れと、左も花を 【〇一八右】 思へる心ふかく、詞やすらかにいひ下されて侍れは、叉同程の事にや  Subtitle  七番  0085:  左 山桜かしらの花におりそへて かきりの春の家つとにせむ  0086:  右                   (ママ) 花よりもいのちをそ猶おしむへき まちつくへしと思ひやはせし  Description 左の限の春といひ、右の命をそ猶といへる、いつれも哀ふかくは侍を、 かしらの花にとをける、此歌に取てはさこそはとみゆれと、雪霜なと は常に聞なれたる事なるを、花といへるも有事にはあれと、いかゝと 聞え侍にや、大かたは歌合のためによみあつめられたる歌に侍らねは、 かやうの事は 【〇一八左】 しゐて申へきにはあらねと、右の歌耳にたつ処なきにつきて、勝と申 へし  Subtitle  八番  0087:  左 おしまれぬ身たにも世にはある物を あなあやにくの花のこゝろや  0088:  右 うき世にはとゝめをかしと春風の ちらすは花をおしむなりけり  Description 右、花を思ふ余にちらす風をうらみぬ、心誠にふかく侍るうへに、左、 あなあやにくのとをける、人常に読事には侍れと、わさと艶なる詞に はあらぬにや、ちらすは花をなといへるは猶まさり侍らん  Subtitle  九番 【〇一九右】  0089:  左 世中をおもへはなへてちる花の わか身をさてもいつちかもせん  0090:  右 花さへに世をうき草に成にけり ちるをおしめはさそふやま水  Description 右歌、心詞顕て、姿もいとをかしくみえ侍れは、山水の花色、心もさ そはれ侍れと、左歌、世中を思へはなへてといへるより、おはりの句 の末まて句ことに思ひ入て、作者の心ふかくなやませる所侍れは、い かにもかち持らん  Subtitle  十番  0091:  左 かさこしの嶺のつゝきに咲花は いつさかりともなくやちるらん  0092:  右 【〇一九左】 風もよし花をもちらせいかゝせむ 思ひいつれはあらまうき世そ  Description 左はよのつねのうるはしき歌のさまなれと、右風もよしとをけるより 終の句の末まて、心詞たくみに人をよひかたきさまなれは、勝と申へ し  Subtitle  十一番  0093:  左 かそへねと今夜の月のけしきにて 秋のなかはの空をしるかな  0094:  右 月のすむあさちにすたくきり/\す 露のをくにや夜をしるらん  Description 仲秋三五夜天、歌の姿高く詞きよくして二千里の外も、誠に残るくま なからんと思ひやられ侍れは、浅茅か下の虫のね、月の光は同くひる にまかふ共、露の詞は猶空に 【〇二〇右】 及かたくや持らん  Subtitle  十二番  0095:  左 清見かた奥の岩こす白浪に ひかりをかはす秋の夜の月  0096:  右 月すみてふくる于鳥の声すなり こゝろくたくやすまのせき守  Description 清見かたすまの浦、関の名所のさま、左まさる右をとるとはまことに 申かたく侍れと、姿につきては猶岩こす浪により、心をおもへは又夜 ふかく関にとまりぬへく侍を、崇徳院の百首御製の中に、浦はの風に 空晴てと侍るは、近き世の事なれと、玉のこゑ久しくとゝまりて今は 昔といふはかり時隔り侍にけれは、猶右の勝とや申へからん 【〇二〇左】  Subtitle  十三番  0097:  左 山かけにすまぬこゝろはいかなれや おしまれている月もある世に  0098:  右 いつくとてあはれならすはなけれとも あれたるやとそ月はさひしき  Description 左右心姿うるはしくくたりて、いつれと申かたけれと、あれたる宿そ 月はさひしきといひはてたる、冝も侍るかな  Subtitle  十四番  0099:  左 月の色にこゝろをふかくそめましや みやこをいてぬわか身なりせは  0100:  右 わたの原波にも月はかくれけり みやこの山を何いとひけむ 【〇二一右】  Description 両首歌、洛外之月色、海上之暁影、又しゐてわきかたく侍れと、右、 浪にも月はなといへる、今少つよく聞え侍らん  Subtitle  十五番  0101:  左 世中のうきをもしらてすむ月の 影はわか身の心ちこそすれ  0102:  右 かくれなくよにすむ虫はみゆれとも われからくもる秋の夜の月  Description 右歌、みるへき月を我はたゝといふふるき心思ひ出られて、くもる涙 も哀深く、藻にすむ虫かくれぬ月の光も底清く侍れは、まさると申へ きにや  Subtitle  十六番  0103:  左 【〇二一左】 うき世には外なかりけり秋の月 なかむるまゝに物そかなしき  0104:  右 すつとならはうき世をいとふしるしあらん わかみはくもれ秋のよの月  Description 月は浮世と云歌の詞に付て心を思へは、共に心深くみえ持れは、持と や申へからん  Subtitle  十七番  0105:  左 秋きぬと風にいはせてくちなしの 色にそゝむるをみなへし哉  0106:  右 花か枝に露のしら玉ぬきかけて おる袖ぬらすをみなへし哉  Description 左歌、風にいはせて口なしのなといへる、いと宜はみえ侍るを、右歌 の姿心、猶尤優なり、仍為勝 【〇二二右】  Subtitle  十八番  0107:  左 山里はあはれなりやと人とはゝ 鹿のなくねをきけとこたへん  0108:新勅  右 小貪山ふもとをこむる夕霧に たちもらさるゝさをしかのこゑ  Description 立もらさるゝさをしかの声、又きかぬ袂まて露をく心ちし侍れは、猶 勝と申へし  Subtitle  十九番  0109:新古  左 しら雲をつはさにかけて行雁の 門田のおもの友したふなる  0110:  右 烏羽にかく玉章の心ちして 雁なきわたる夕やみの空 【〇二二左】  Description 烏羽の玉章、跡なき事にはあらねと、近き世より人このみ読事に侍へ し、左歌、心詞こひねかはれは、勝と申へし  Subtitle  二十番  0111:新古  左 秋篠や外山の里やしくるらん いこまのたけに雲のかゝれる  0112:  右 何となく心をさへはつくすらん わかなけきにてくるゝ秋かは  Description 心をさへは尽すらんなといへる、詞のよせ有てことなるとかなく侍れ と、いこまの嶽に雲をみて、外山の里まて時雨を思へる心猶ゆかしく 聞え侍れは、左勝とや申へからん 【〇二三右】  Subtitle  廿一番  0113:  左 ますけおふるあら田に水をまかすれは うれしかほにもなく蛙かな  0114:  右 水たゝふ入江のまこもかりかねて むなてに過る五月雨のころ  Description 左右、心姿同しさまの事に持へし、あら田に水をといひ、むなてに過 るといへる、いつれもいひしりて聞え侍れは、よき持に侍り  Subtitle  廿二番  0115:  左                        〔しイ本ノマヽ〕 郭公谷のまに/\をとつれて あはれにみゆる嶺つゝき哉  0116:  右 【〇二三左】 人聞ぬふかき山へのほとゝきす なくねもいかにさひしかるらん  Description 左歌、面かけ有て優にこそ侍めれ、右歌も鳴ねもいかになといへる、 誠にさひては聞ゆれと、左の詞、谷のまに/\、猶ふかく思ひ入たる 所侍れは、勝と申へし  Subtitle  廿三番  0117:  左 しのにおるあたりも涼し河やしろ 榊にかゝる浪のしらゆふ  0118:  右 楸生てすゝめとなれる陰なれや 浪うつ岸に風わたりつゝ  Description 左右歌、浪の気色納涼の心、又殊にわくへき所持らぬにや  Subtitle  廿四番  0119:  左 【〇二四右】 霜うつむむくらか下のきり/\す あるかなきかの声きこゆなり  0120:  右 をくらやまふもとの里に木の葉ちれは 木すゑにはるゝ月をみる哉  Description 両首歌、左暮秋霜底聞暗蛬残声、右寒夜月前望黄葉落色、意趣各冝、 歌品是同、為持  Subtitle  廿五番  0121:  左 よし野山ふもとにふらぬ雪ならは 花かと見てやたつねいらまし  0122:新勅  右 風さえてよすれはやかてこほりつゝ かへる波なき志賀のからさき  Description 左もうるはしきさまに宜侍れと、帰る波なきなといへるよりは、花に まかふよし野の雪、ふりてや聞ゆらん、仍以右 【〇二四左】 為勝  Subtitle  廿六番  0123:  左 をしなへて物をおもはぬ人にさへ 心をつくる秋のはつかせ  0124:  右 たれすみてあはれしるらん山里の 雨ふりすさむ夕くれの空  Description 左の秋風、右の夕雨、心かれこれにみたれて又わきかたく侍れは、持 とや申へからん  Subtitle  廿七番  0125:  左 わかこゝろさこそ都にうとからめ さとのあまりになかゐしてける  0126:  右 【〇二五右】 程ふれはおなしみやこのうちたにも おほつかなさはとはまほしきを  Description 右歌、姿さひていと哀にも聞え持を、左、猶とゝこほる所なくいひな かされて持れは、まさるとや申へからん  Subtitle  廿八番  0127:  左 時雨かは山めくりする心かな いつまてとのみうちしほれつゝ  0128:  右 我やとは山のあなたにある物を 何とうき世をしらぬこゝろそ  Description          (ママ) 時雨かはとをけるよりも、いつまてとのみうちしほれつゝといひはて たる末の句も、猶左まさり侍らん  Subtitle  廿九番  0129:新古  左 【〇二五左】 年月をいかてわか身にをくりけん 昨日の人もけふはなき世に  0130:  右 むかしおもふ庭に薪をつみをきて みし世にも似ぬ年のくれ哉  Description                       (ママ) 昨日の人もけふはなき世、誠にさる事と聞えていと哀哀には侍るを、 庭に薪をつみをきてとをける、さためて思へる所あらんとみえ侍るう へに、みし世にも似ぬ年の暮哉といへるも、猶優に聞え侍れは、かつ とや申へからん  Subtitle  三十番  0131:  左 またれつる入相のかねの音すなり あすもやあらはきかんとすらん  0132:  右 何ことにとまるこゝろのありけれは さらにしも又世のいとはしき 【〇二六右】  Description    (ママ) 左の鐘の歌に心つきはてゝ、まさると申へきを、右の歌、さらにしも 又といへる、まくへき歌の詞とはみえ侍らねは、勝負又分かたくや  Subtitle  卅一番  0133:  左 なき人をかそふる秋のよもすから しほるゝ袖や鳥へのゝ露  0134:  右 はかなしやあたにいのちの露きえて 野へにやたれもをくりをかれん  Description 送をかれん、哀もあさくみなさるゝには侍らねと、左の下句、猶長き 夜の袖の露もふかくをきまさる心ちして侍るにや、仍為勝  Subtitle  卅二番 【〇二六左】  0135:  左 道かはる御幸かなしき今宵かな かきりのたひとみるにつけても  0136:  右 松山の浪になかれてこし船の やかてむなしく成にける哉  Description       (ママ) 左右共為旧日之往事、故不加判  Subtitle  卅三番  0137:  左 うき世とて月すますなることあらは いかにかすへき天下人  0138:  右 なからへて誰かはさらにすみとけん 月かくれにしうき世なりけり  Description                             (ママ) 左、月を思ふあまりの心に侍めり、右、生滅無常をしれる、詞のつき 又耳にたつ処侍らねは、持と申へし 【〇二七右】  Subtitle  卅四番  0139:  左 身をしれは人のとかともおもはぬに うらみかほにもぬるゝ袖哉  0140:  右 申/\になれぬおもひのまゝならは うらみはかりや身につもらまし  Description 左も心あるさまなれと、右、猶優に聞え侍れは、勝と申へし  Subtitle  卅五番  0141:  左 あはれとてとふ人のなとなかるらん 物おもふやとの萩のうはかせ  0142:新古  右 おもひしる人あり明の世なりせは つきせす身をはうらみさらまし  Description 左歌、誠に宜みえ侍るを、右の人有明の世なりせはと 【〇二七左】 いへるや、猶をとると申かたくや  Subtitle  卅六番  0143:千  左 あふとみしその夜の夢のさめてあれな なかきねふりはうかるへけれと  0144:  右 あはれ/\此世はよしやさもあらはあれ こん世もかくやくるしかるへき  Description 両首の歌、心共にふかく詞をよひかたきさまにみえ侍るを、右の、此 世とをきこん世といへる、ひとへに風情を先として詞をいたはらすは みえ侍れと、かやうの難は、此歌合にとりてはすへてあるましき事に 侍れは、なすらへて又持とや申へからん   (余白) 【〇二八右】 神風宮河の歌合、勝まけしるしつくへき由侍し事は、玉くしけ二とせ あまりにも成ぬれは、かくれては宮をまもる神のふかくみそなはさん 事をおそれ、あらはれては家につたはらんことの葉にあさき色をみえ んことをつゝむのみにあらす、わつかにみそもしあまりをつらぬれと、 いまた六の姿の趣をたにしらす、をのつから難波津の跡をならへとも、 さらにいつも八雲の行衛くらくのみ侍るうへに、もろこしの昔の時た にもいく百とせのうちにや、詩人才子文躰三たひあらたまりにけれは、 ましてやまと詞の定れる所なき心姿、いつれをあしよしといひ、いか なるをふかしあさしと思ひはかるへしとは、たれにしたかひて何をま ことゝしるへきにもあらす、時により所につけて 【〇二八左】 このみほめそしるならひにてそ有へき、しかるを此歌合は、わさとし つみおもひてあはせつかはれたるにもあらす、たゝおほくの年比つも れることの葉をひろひて、ならひぬへきふし/\かよへる所/\を思 ひ合つゝ左右にたてられて侍れは、ことの心幽かに、歌の姿高くして、 空よりもはかりかたし、つもる哀はふかけれと、雪まの草のみしかき 詞、みたれてかきあらはさんかたもなく、おもふふしはしけゝれと、 波路の芦のうきたる心のみたゝよひて、うちいつへき事もなくおもふ 拾へられぬれは、春のあら田のかへす/\思ひやみぬへく成ぬれと、 ひしりの契をあふき奉る事も、此世ひとつのあたのよういにもあらす、 仏の道にさとりひらけんあしたは、まつひる 【〇二九右】 かへす縁をむすひをかんためにと思、又はたかきいやしきそこら道を このむ輩をゝきて、よはひいまた三そちにをよはす、位猶いつゝのし なにしつみて、三笠山の雲の外にひとり拾遺の名をはち、九重の月の もとに久しく澆沈のうれへにくたけたる、浅茅の末葎の下の塵の身を 尋て、浦のはまゆふのかさなれる跡、まさきのかつらたえぬ道はかり をあはれみて、鈴鹿の関のふりはへ、八十瀬の波の立かへりて、思ゆ へあり、猶かならすつとめをけ、と侍しかは、宮川の清き流に契りを むすひ、位山のとゝこほる道まても、御しるへや侍るとて、今きゝ後 みん人のあさけりをもしらす、むかしをあふきふるきを忍ふ心ひとつ にまかせて、かきつけ持りぬる 【〇二九左】 になむ  0145: 君はまつうき世の夢をさめぬともおもひあはせん後の春秋  0146:  返し 春秋を君おもひいては我は又月と花とをなかめをこせん   (六行空白) 【〇三〇右】  Description 本奥書云 文治五年八月日書写之 清書伊経朝臣云ゝ銘左大将殿 本云 大永二年季春下旬如本書写之了 以右奥書本片時馳禿筆字形等可慙追可校合者也  于時大正八年八月十八日記之  時雨打窓之時也  End  親本::  国立公文書館蔵浅草文庫本「御裳濯川歌合・宮河歌合」  底本::   書名:  新典社叢書5 西行全歌集下   編者:  桑原博史   発行所: 株式会社 新典社   発行日: 昭和57年07月01日 初版発行        ISBN4-7879-3005-2  入力::   入力者:   新渡戸 広明(nitobe@saigyo.net)   入力機:   IBM ThinkPad X31 2672-CBJ   スキャナ:  Canon CanoScan LiDE 600F   認識ソフト: LEAD Technologies, Inc. 読取革命Lite(Ver.1.06)   編集機:   IBM ThinkPad X31 2672-CBJ   入力日:   2007年09月12日-09月132日  校正1::   校正者: 新渡戸 広明(nitobe@saigyo.net)   入力日:    校正 : (誤入力0字 / 全文約0字)* 100 = 0% $Id: mimo_miya.txt,v 1.3 2019/07/09 02:30:53 saigyo Exp $