Title  自讚歌  Note  自讚歌は、後鳥羽院天皇の御時、時の歌人十六人、(式子内 親王、後京極攝政、前大僧正慈圓、權大納言通光、權中納言通 具、釋阿俊成卿、皇大后宮大夫俊成女、宮内卿、有家卿、定家 卿、家隆卿、具親朝臣、雅經朝臣、寂蓮法師、藤原秀能、西行 法師)に各自よしと思ふ歌十首を奉らしめ給ひ、帝の御歌十首 をも添へさせ給へるものなり。  Subtitle  序文  Description 天の下閑にて、浪の聲の靜なりし御代は、今は百年あまりに や成ぬらん。萬の事を捨給はず、はかなきふしまでも聞しめし ける中にも、やまと歌は、彼梨壷の心ざしをこひ、柿の本の姿を 思し召ける御惠のすゑにや、世にさぶらふ人々は、かしこきも いやしきも、富士の根の高きいきほひをまなび、わたつ海の深 き心をのみしたひければ、此道中頃よりも猶いにしへざまに およぶ事に侍りけり。しかるに人の心の關しなければにや、各 みづからの歌をのみ思ひて、其さま知らぬも多かりけるを、賢 き愚なるを知らしめ、後の世の恨あらせじとて、みづからよめ る歌の中に、よろしきさ十首奉らしめ給うて、心々を見給ひけ るに、まことに山人の薪をおへるさまをのがれたれども、繪に かける姿のまめならず、露をあざむく心のみおほかりけるに、 御みづからの歌を此つひでに見せ知らせ給ひけるぞ、御惠の 深さも、末の代のまもりとまでみえける。其中に櫻さく遠山鳥 の詠よりはじめて、都も今は夜寒の言の葉にうつりきて、神路 の山の月かげまでも、人のきくにかなはしめ、神の心もなごむ らん物をと打ながむる折々は、袖の上かわく間ぞなき。其外の わたくしざまには、神代の月影清く、北の藤浪春にあふ色いと めづらかなるに、男山あふぐ峰より出る月影、袖にくちにし秋 の霜、いづ山も樣ことに情あるを、昔思ふ草のいほり、しのゝは ぐさの露かゝる姿いひしらず、たぐひ及びがたきに、朝日かげ 匂へる花もなつかしく、岩根の床に嵐を片しくらんは、げに忍 びがたき心地するに、佐野のわたりの雪のうち、ひもゆふぐれ の峰の嵐は、代にまぎれぬあはれさも、道しる御代のかひあり て、いかに御あはれびも深かりけん。さても猶、夕時雨ぬれてや 鹿のながめの末もをかしきに月の桂に木枯の風、いかならん とゆかしきのみならず、高まの櫻の匂、槇の葉に霧立のぼる夕 ぐれの色もあはれなるに、汐みちくらし難彼江の面影までも 思ひ殘されぬ心地するを、富士の煙の空に消えてなどきく折は まことに手にしたがへるさまなりけり。此外はいづれも時の 花に心をうつし、深きことのみ多かりけり。其中によろしきふ しあるを、とり出させ給ひて時代不同の歌合に入させ給ひけ る。しかあれば、みづからの撰び思ひけるには、天地はるかにた がひければにや、いと心ゆかず思ひける人の夢に、柿本のまう ち君の、あつめられたる歌を打吟じて、いと心よく物し給ふと 見しよりぞ、疑はとけにけるとなん。誠に君も人も身を合せた りとは、うばたまの夢にても思ひ合せたりける。そも/\和歌 の浦浪立し始を思ふに、下てる姫はあな玉はやとながめ、素戔 の雄の尊は出雲八重垣ときこえ、しかうして世中にいきとし いけるものゝ、ことなる志を言の葉にあらはせり。人あつく世 すなほにして、亂りがはしからず、道ありけり。此外に雲霧隔て たるいにしヘざまの事は、人ごとに手のうちの鏡の如くにの みなりぬれば、近き所の松の花、稀にあひ見る珍らしさも、心に しみぬるあまりに、其すがたをうつして深き窓の内のもてあ そびとして、よそのあざけりを忘れ侍りぬるにこそ。  Subtitle  自讚歌  Author                太上天皇  0001: 櫻さくとほ山鳥のしだりをのなが/\し日もあかぬ色かな  0002: 露は袖に物思ふ比はさぞなおくかなず秋の習ひならねど  0003: 思ひ出るをりたく柴の夕煙むせぶもうれしわすれがたみに  0004: なき人のかたみの雲やしをるらん夕べの雨に色は見えねど  0005: 見るまゝに山風あらくしぐるめり都も今や夜さむなるらん  0006: わが戀はまきの下葉にもる時雨ぬるとも袖の色にいでめや  0007: 袖の露もあらぬ色にぞきえかへる移ればかはる歎せしまに  0008: 大空に契るおもひのとしもへぬ月日もうけよゆくすゑの空  0009: ながめばや神路の山にくも消てゆふべの空にいでん月かげ  0010: 瑞垣や我世のはじめ契りおきしその言の葉を神やうけゝん  Author                式子内親王  0011: 山ふかみはるともしらぬ松の戸にたえ/\かゝる雪の玉水  0012: ながめつるけふは昔になりぬとも軒端の梅は我をわするな  0013: 眺めわびぬ秋よりほかの宿もがな野にも山にも月や住らん  0014: 桐の葉もふみ分がたく成にけりかならず人を待となけれど  0015: 君まつと閨へもいらぬ槇の戸にいたくなふけそ山のはの月  0016: わすれては打なげかゝる夕べかな我のみしりて過る月日を  0017: 玉の緒よたえなば絶ね長らへば忍ぶる事のよわりもぞする  0018: 生てよもあすまで人はつらからじ此夕暮をとはゞとへかし  0019: 夢にてもみゆらんものを歎きつゝうちぬる宵の袖の氣色は  0120:                         〔たまき1〕 それながら昔にもあらぬ秋風にいとゞながめをしづのを環  Author                後京極攝政  0021: み吉野の山もかすみて白雪のふりにしさとに春はきにけり  0022: 天の戸をおしあけがたの雲まより神代の月の影ぞのこれる  0023: 雪はみなはらひはてたる秋風を松にのこして月をみるかな  0024: いつもきくものとや人の思ふらんこぬ夕暮の松かぜのこゑ  0025: 我なみだもとめて袖にやどれ月さりとて人の影は見えねど  0026: いはざりき今こんまでの空の雲月日へだてゝ物おもへとは  0027: 忘れじとちぎりて出し面影はみゆらんものをふるさとの月  0028: 人すまぬふはのせきやの板びさし荒にし後はたゞあきの風  0029: めぐりあはむ限はいつとしらねども月な隔てそよその浮雲  0030: 春日山都のみなみしかぞ思ふきたのふぢなみ春にあへとは  Author                前大僧正慈圓  0031: いつまでかなみだ曇らで月はみし秋まちえても秋ぞ戀しき  0032: 木の葉ちる宿にかたしく袖の色をありとも知らで行く嵐哉  0033: 霜さゆる山田のくろのむら薄かる人なしにのこるころかな  0034: 野邊の露は色もなくてやこぼれつる袖よりすぐる荻の上風  0035: 思ふ事などとふ人のなかるらんあふげば空に月ぞさやけき  0036: おしなべてひよしの影は曇らねど涙あやしききのふけふ哉  0037: 世の中のはれゆく空にふる霜のわが身ひとつぞおき所なき  0038: をかのへの里のあるじを尋ぬれば人は答へず山おろしの風  0039: 山里にちぎりし庵や荒ぬらんまたれんとだに思はざりしを  0040: わが頼むなゝの社の木綿だすきかけても六の道にかへすな  Author                權大納言通光  0041: みしま江や霜もまだひぬ芦の葉につのぐむ程の春風ぞ吹く  0042: 武藏野はゆけども秋のはてぞなきいかなる風の末に吹らん  0043: あけぬとて野べより山に入鹿のあとふきおくるをきの下風  0044: あけぼのや河せの浪のたかせ舟くだすか人のそでの秋ぎり  0045: 月さゆる磯におりゐる濱千鳥あとふみつけし秋のかたみに  0046: 峯こゆる雲につばさやしをるらん月にほすてふ初雁のこゑ  0047: 眺めわびぬそれとはなしに物ぞ思ふ雲のはたての夕暮の空  0048: 限あればしのぶの山のふもとにも落葉が上のつゆぞ色づく  0049: あさぢふや袖に朽にし秋の霜わすれぬ夢をふくあらしかな  0050: なほてらせ代々にかはらぬをとこ山あふぐ峰より出る月影  Author                權中納言通具  0051: 梅の花たが袖ふれしにほひぞと春やむかしの月にとはゞや  0052: あはれまたいかにしのばん袖の露野原の風に秋はきにけり  0053: かげやどす露のよすがに秋暮て月ぞすみけるをのゝ志の原  0054: 霜結ぶ袖のかたしきうちとけてねぬ夜の月の影ぞさやけき  0055: 野邊におく露の名殘も忍ばれぬあだなる秋の忘れがたみに  0056: 冬の夜のね覺ならひしまきのやの時雨のうへに霰ふるなり  0057: 霜こほる袖にもかげは宿りけり露よりなれしありあけの月  0058: 木の葉ちるしぐれやまがふ我袖にもろき涙の色とみるまで  0059: せきかへしなほもる袖の涙かなしのぶもよその心ならぬに  0060: 今こんとちぎりしことは夢ながらみし夜に似たる有明の月  Author                釋阿俊成卿  0061: 昔思ふくさのいほりのよるの雨に涙なそへそれほとゝぎす  0062: 忘れじよわすれじとだにいひてまし雲井の月の心ありせば  0063: あれわたる秋のにはこそ哀なれましてきえなん露の夕ぐれ  0064: いかにして袖にひかりの宿るらん雲井の月は隔てゝし身を  0065: しめおきて今はと思ふ秋山のよもぎがもとにまつ虫のなく  0066: 嵐ふく峰の紅葉の日にそへてもろくなりゆく我なみだかな  0067: 仙人がをる袖にほふ菊の露うちはらふにも千代はへぬべし  0068: なには人芦火たくやに宿かりてすゞろに袖のしほたるゝ哉  0069: 立かへり又もきてみん松嶋やをしまのとまや浪にあらすな  0070: ちらすなよ篠のは草のかりにても露かゝるべき袖の上かは  Author                皇太后宮大夫俊成女  0071: 梅の花あかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月  0072: 面影のかすめる月ぞやどりける春やむかしの袖のなみだに  0073: あだにちる露の枕にふしわびてうづらなくなりとこの山風  0074: いにしへの秋の空まですみだ川月にこととふ袖のつゆかな  0075: をしむともなみだに月も心からなれぬる袖に秋をうらみて  0076: 色かはる露をば袖におきまよひうらがれてゆく野べの秋哉  0077: ふりにけり時雨は袖に秋かけていひし斗をまつとせしまに  0078: 霜がれはそこともみえず草の原たれにとはまし秋の名殘を  0079: したもえに思ひ消なん煙だにあとなき雲のはてぞかなしき  0080: 夢かとよみし面影も契りしも忘れずながらうつゝならねば  Author                宮内卿  0081: かきくらし猶ふる里の雪の内に跡こそ見えね春はきにけり  0082: 花さそふひらのふ風吹きにけりこぎゆく舟の跡みゆるまで  0083: 片枝さすをふの浦なし初秋になりもならずも風ぞ身にしむ  0084: 心あるをしまのあまの袂かな月やどれとはぬれぬものから  0085: 月をなほまつらんものかむらさめのはれゆく雲の末の里人  0086: まどろまでながめよとてのすさびかな麻の狹衣月にうつ聲  0087: 龍田山嵐やみねによわるらんわたらぬ水もにしきたえけり  0088: から錦秋のかたみにたつた山ちりあへぬ枝にあらしふく也  0089: 霜をまつ籬の菊のよひの間におきまがふいろは山の端の月  0090: きくやいかに上の空なる風だにもまつに音する習ありとは  Author                有家卿  0091: 朝日影にほへる山のさくら花つれなくきえぬ雪かとぞみる  0092: こぬ秋のいつくれはてゝうす氷むすぶばかりのれの井の水  0093: 大よどの月にうらみてかへる波松はつらくもあらし吹夜に  0094: 花をのみをしみなれたる三芳野の梢におつるありあけの月  0095: ゆく年ををしまの蜑のぬれ衣かさねてそでに浪やかくらん  0096: 物思はでたゞ大かたの露にだにぬるればぬるゝあきの袂を  0097: 旅衣かへすゆめぢはむなしくて月をぞみつるありあけの空  0098: 岩がねの床にあらしを片しきてひとりやねなんさよの中山  0099: 我ばかり思ふか物をとばかりに袖にしぐるゝにはのまつ風  0100: 春の雨のあまねき御代をたのむ哉霜に枯ゆく草葉もらすな  Author                定家卿  0101: 春の夜の夢の浮はしとだえしてみねにわかるゝよこ雲の空  0102: 駒とめて袖打はらふかげもなし佐野のわたりの雪の夕ぐれ  0103: 松がねを磯べの波のうつたへにあらはれぬべき袖のうへ哉  0104: 年もへぬ祈るちぎりは初瀬山をのへのかねのよその夕ぐれ  0105: 歸るさの物とや人のながむらんまつ夜ながらのあり明の月  0106: あじきなくつらき嵐の聲もうしなど夕暮をまちならひけん  0107: きえわびぬうつろふ人の秋の色にみをこがらしの森の下露  0108: 玉ゆらの露も泪もとゞまらずなき人こふるやどのあきかぜ  0109: いづくにかこよひは宿をかり衣日も夕ぐれの峯のあらしに  0110: 袖にふけさぞな旅ねの夢もみじ思ふかたよりかよふうら風  Author                家隆卿  0111: 櫻花夢かうつゝかしら雲のたえてつれなきみねのはるかぜ  0112: いかにせんこぬ夜あまたの時鳥またじと思へば村さめの空  0113: 昨日だにとはんと思ひし津の國の生田の杜に秋はきにけり  0114: ながめつゝ思ふもかなし久方の月のみやこのあけがたの空  0115: 下もみぢかつちる山の夕時雨ぬれてやひとり鹿のなくらん  0116: 思ひ出る身はふる草の秋の露たのめしすゑやこがらしの風  0117: 思ひ出よたがかねごとのすゑならむ昨日の雲のあとの山風  0118: あけば又こゆべき山の峯なれや空ゆく月のすゑのしらくも  0119: 和歌の浦や沖つ汐合に浮び出るあはれ我身のよるべしらせよ  0120: その山と契らぬ月も秋風もすゝむるそでにつゆこぼれつゝ  Author                具親朝臣  0121: 難波がた霞まぬ波もかすみけりうつるも曇るおぼろ月夜に  0122: 時しもあれたのむの雁の別さへ花ちるころのみよしのの里  0123: しきたへの枕のうへを過ぬなり露をたづぬる秋のはつかぜ  0124: 今は又ちらでもまがふ時雨かなひとりふりゆく庭のまつ風  0125: はれくもる影を都にさきだてゝしぐるとつぐる山のはの月  0126: 遠ざかる雲井の雁のなごりさへかすめばつらき難波江の月  0127: ながめよと思はでしもやかへるらん月まつ浦のあまの釣舟  0128: 木枯よいかにまちみん三輪の山つれなき杉の雪をれのこゑ  0129: 月の秋は名のみぞよるの藻汐草かくかき絶てみる夢もなし  0130: 又もかくうきて世にふるためしありや漂ふ雲のあとの村雨  Author                雅經朝臣  0131: 白雲のたえまになびく青柳のかつらきやま仁はる風ぞふく  0132: 尋ねきて花にくらせる木の間より待としもなき山のはの月  0133: たへてやは思ひありともいかゞせんむぐらの宿の秋の夕暮  0l34: 拂ひかねさこそは露のしげからめ宿るか月の袖のせはきに  0135: うつりゆく雲に嵐の聲すなりちるかまさきのかつらきの山  0136: いたづらにたつや淺間の夕煙里とひかぬるをちこちのやま  0137: 秋の色をはらひはてゝや久方の月のかつらにこがらしの風  0138: なれ/\て見しは名殘の春ぞともなどしら河のはなの下陰  0139: 君がよにあへるばかりの道はあれど身をば頼まず行末の空  0140: 草枕結びさだめんかたしらずならはぬ野べの夢のかよひぢ  Author                寂蓮法師  0141: 今はとてたのむのかりもうちわびぬ朧月夜の明ぼのゝそら  0142: かつらきやたかまの櫻さきにけりたつたの奧にかかる白雲  0143: 物思ふ袖よりつゆやならひけん秋風ふけばたへぬものとは  0144: ちりにけりあはれうらみの誰なれば花の跡とふ春の山かぜ  0145: 村雨の露もまだひぬまきの葉に霧たちのぼる秋のゆふぐれ  0146: さびしさはその色としもなかりけりまきたつ山の秋の夕暮  0147: うらみわびまたじ今はの身なれども思ひなれにし秋の夕暮  0148: 思ひあれば袖に螢をつゝみてもいはゞや物をとふ人もなし  0149: 里はあれぬ空しき床のあたりまで身は習はしの秋風ぞ吹く  0150: 思ひの浪こえける身こそ哀なれことしもいまは末のまつ山  Author                藤原秀能  0151: 夕月夜汐みちくらし難波江のあしのわか葉にこゆるしら波  0152: 足引の山路のこけのつゆの上にねさめ夜ふかき月をみる哉  0153: 月すめばよものうき雲そらにきえてみ山がくれをゆく嵐哉  0154: 草枕ゆふべのそらを人とはゞなきてもつげよはつ雁のこゑ  0155: 下紅葉うつろひゆけば玉ほこのみちの山風さむくふくらし  0156: もしほやくあまの磯屋の夕煙たつ名もくるし思ひたえなで  0157: 袖の上に誰ゆゑ月は宿るぞとよそになしても人のとへかし  0158: 露をだに今はかたみのふぢごろもあだにも袖をふく嵐かな  0159: 山ざとの風すさまじき夕暮に木の葉みだれて物ぞかなしき  0160: 今こんとちぎりし事を忘れずはこの夕ぐれに月やまつらん  Author                西行法師  0161: 吉野山櫻がえだにゆきちりてはなおそげなる年にもある哉  0162: ながむとて花にもいたく馴れぬればちる別こそ悲しかりけれ  0163: あはれいかに草葉の露のこぼるらん秋風たちぬ宮城野の原  0164: 月みんとちぎりて出し故里の人もやこよひそでぬらすらん  0165: きり%\す夜寒に秋のなるまゝに弱るか聲の遠ざかりゆく  0166: 津の國の難波の春は夢なれやあしのかれ葉に風わたるなり  0167: 年たけてまたこゆべしと思ひきやいのち也けり小夜の中山  0168: 風になびく富士の煙の空にきえて行方もしらぬ我思ひかな  0169: 山里にうき世いとはん友もがなくやしくすぎし昔かたらん  0170: 吉野山やがていでじと思ふ身を花ちりなばと人やまつらん  End  底本::   書名:  日本歌學全書 第七編        新古今集・鴨長明集・自讚歌   編集兼發行者:  大橋 新太郎   標註: 佐々木弘綱       佐々木信綱   發行:  博文館 (東京市神田區三崎町三丁目一番地)   初版:  明治二十四年六月十一日發行        明治四十三年十月二十日七版發行  入力::   入力者: 新渡戸 廣明(info@saigyo.net)   入力機: Sharp Zaurus igeti MI-P1-A   編集機: IBM ThinkPad X31 2672-CBJ   入力日: 2004年09月12日-2004年09月15日  校正::   校正者:   校正日:  $Id: jisanka_2.txt,v 1.10 2020/01/06 03:45:05 saigyo Exp $